「MagSite1というのは、悲劇のソフトである」
「なんか、君の書くソフトはみんな悲劇じゃないの?」
「いやいや、そんなことはないよ」
「どこが悲劇だったの?」
「うん。MagSite1はもともと簡単に更新できる電子マガジンサイト作成支援ソフトとして構想されたのだ。しかし、最初のバージョンができあがったらブログブームが起きていた。何しろ出自が違うので、細かいところには山ほど差異があるのだが、見た目が似ているのでほとんどのニーズは持って行かれた」
「戦って勝てばいいじゃないか」
「アメリカで散々戦って勝ってきたソフトと、やっと試作品ができたばかりで機能も少ないソフトで戦えるか」
「スタートラインにハンデがありすぎたわけだね」
「まあ、そのあとで紆余曲折があって、Azureで実現しようと思ってClound1,2,3と試作もしてきたのだが、この路線もどうかワカラン」
「なぜ分からないの?」
「Cloud3でも既に技術的に古いのだ。今のAzureはもはや別物だ」
「うーむ」
「そこでだ。実は2011年なりのありようというものを考えたとき、いくつかの理由からMagSite1の改良をしても良いのでは無いかと思えてきたのだ」
「それがMagSite2構想ってことだね」
「そうだ」
「じゃあ、Cloud4構想って何?」
「ストレージを仮想化しちゃえば、そのままAzureに乗せることも出来るように改良することも無理ではあるまい、ということだ」
ポイントは何か §
「結局、何が気が変わったポイントなの?」
「うん。実はMagSite1には1万個問題というのがある」
「それは何?」
「コンテンツ1万個で性能が確保できることを前提に作られている。今はハードの力で1万個以上を扱っているが」
「なぜ1万個問題があるの?」
「最もアクセスが多いランキングを出すからだ。ソートの手間が掛かる」
「確かにデータが増えると重そうだ」
「しかし、これとは別に問題もある」
「問題? なんだい?」
「オーマガでは、書かれて5年とか10年とか経った古すぎる中身が爆発的に読まれるケースがけっこうあるのだが、これはうざい。しかも有害だ」
「確かに。昔は真だったことも今は偽ってことがあるからね」
「そうだ。だから古いものは古いと認識して読むなら良いのだが、そうではないケースは露出させたくないのだ」
「確かにそうだね」
「だからさ。実は『ある程度以上古いアイテムはもはやランキングに参加させない』と決めてしまうと、1万個問題が消えるんだ」
「えーっ。それは一石二鳥のアイデアじゃないか」
「うん。負荷が急に軽くなるならね。軽ければ難しいアーキテクチャをひねりだす必要もない」
「古いアイテムのランキングを完全に取り去っていいの?」
「サイトの監視という意味ではあった方が良いが、それはリアルタイムで変化する必要は無いよ。1日1回とかバッチで更新すればいい。その場合処理時間は問題にならない。別にお客様を待たせる訳じゃ無いからね」
「それがIISからキックしないで、他からキックさせるわけだね」
「うん。だから少しめんどくさいが、過剰に難しいわけでは無い」